思い込みで損をしないために

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、思い込みで損をしないために、という題で書いてみたい、と思います。

人間、起きている出来事を正しく理解することは難しく、誰しも、経験知を頼りに、行動したり、決断したりすることがあります。
合っていることもあれば、間違っていることもあります。
自分もこの罠に嵌らないように、気を付けて生きるようにはしていますが、人間、誰しも、嬉しかったこと、悲しかったこと等、自身の経験したことが、人生の決断、行動を決める際に、大きく影響してしまうことは否めない、と思うのです。

今、目の前に起きている問題解決のために、経験したことのある「パターン」を頭の中で探し、「たぶんこのパターンだ。」と決めて、これから起きると考えられる出来事を予測したりもします。

当たっていることもあれば、当たらないこともあり、難しい問題です。

そんな人間の傾向から、障害年金の手続きの中で、これは知っておいて欲しいな、と思うことを紹介します。

「社労士全員=障害年金のプロ?」

「国家試験に合格し、社会保険労務士を名乗っているのであれば、どの人もそれほど大きな差はないのだろう。」そんな風に思っている方も多いと思います。
私も、実際、社会保険労務士として仕事をし、色々な方に会うまで、そう思っていました。しかし、現実問題、どの方も、色々なバックボーンを持って、その後、社会保険労務士試験を受け、社会保険労務士になり、仕事をしている関係上、社会保険労務士になる前の職歴や経験、また、社会保険労務士として研鑽を積んでいく過程で、得意とする分野と不得意とする分野が出てしまい、社会保険労務士試験によって担保された一定の知識以上の知識、問題解決能力等は、人それぞれ、全く違う、と言っても過言ではない状況が生まれています。
そして、残念ながら、障害年金を専門に扱っている社会保険労務士は多くありません。
障害年金の請求に詳しい社会保険労務士は、全国でも僅か、となっています。

これは、障害年金の手続きが複雑で、労務管理や給与計算等の関係で、企業の顧問をされている多くの社会保険労務士の方が、障害年金の手続きまで手が回らない、ということが原因ではないか、と思うのです。また、経営者とお話しすることはできても、ご病気の方とお話しすることに慣れていない方もいます。

障害年金の仕事は極めて、ニッチな分野です。

「年金事務所の担当者=障害年金に皆、詳しい?」

年金事務所の窓口の方は、私もよく接する機会があり、皆様、本当に良い方ばかりで、真面目に仕事に取り組まれ、少しでも目の前の方のお役に立てるように動かれています。
そして、障害年金のことについては、年金事務所で相談はできますし、請求する要件を満たしている方が、必要書類を揃えていれば、受付してくれます。
ただ、年金事務所の窓口の担当の方は、審査の担当の方ではありません。
全国、津々浦々にあり、障害年金の書類については、受付するに足るものか、どうか、という一点で書類が揃っているか、確認をしており、「目の前の方の障害年金の受給権が発生するか、どうか」という視点で、書類の確認はしていません。
これは、何も年金事務所の窓口の方が悪いのではなく、まず、前提として、受付するに足る書類か、どうか、という仕事を受け持っているからであり、審査を担当している訳でもないのに、障害年金の受給権が発生するか、どうか、という点に言及できるはずがなく、しっかりと、書類受付後に、
「障害の程度は、審査の結果により年金に該当しない場合があります。」
と説明をすることが仕事であるからです。
ある意味、目の前の方の障害年金の受給権が発生しても、不支給決定であろうとも、そこは、中立の立場で、動くことが年金事務所の窓口担当者に求められている姿勢であり、逆に、審査を担当している訳でもないのに、結果の見通しまで話しているとすれば、何をしているのだ、ということになります。
全国一律に、迅速、適正に受付をする、という仕事を年金事務所の窓口の方は、行っており、そこに、結果を左右するような判断があってはならないのです。

「自分で手続きを終わらせてから、結果が不安になって、慌てて問い合わせ。」

先に、年金事務所では、書類受付後に、
「障害の程度は、審査の結果により年金に該当しない場合があります。」と説明があることを書きましたが、お客様の中では、
「これだけ重たいのだから、絶対に等級に該当している!」と信じて手続きを進め、この説明を受けた後、もしくは、実際に不支給決定処分の通知を受けた後に、お問い合わせいただくケースが良くあります。
提出済みの資料の写しを取り寄せて、眺めてみると、随所に「何故、もっと早く問い合わせしてくれなかったのだろう。」と思う書類の箇所を見つけてしまいます。

障害年金の手続きには、資料の整理から提出まで順番があり、障害年金請求手続きを専門にしている社会保険労務士に依頼してしまえば、必要に応じて資料を取得し、主治医の先生が診断書を作成する際の参考資料が揃えられます。請求書や病歴・就労状況等申立書もミスなくポイントを押さえて作成します。診断書や病歴・就労状況等申立書は、審査結果を左右する書類となりますので、手続きを始める前に、お問い合わせいただき、準備を進めていくことがベストです。
社会保険諸法令全体から答えを出して動いていきますので、他の給付との関係も考慮しながら、最適解に落ち着かせることができます。

「全て書類で審査するもの。」

障害年金の請求は、障害の状態として、手続きを始めるまで、馴染みが無く、熟知している人が少ない制度の一つですが、いざ、手続きをする段階においては、「知りません。」「分かりませんでした。」で済むことはなく、請求する権利の有無や、受給権発生に至るか、どうかの審査まで、法令に則り、事務的に、書類上で、粛々と進んでいきます。

たった1文字間違えて書いただけで、書類の返戻を受けたこともあり、私も、社会保険労務士として、この制度に関わってから、ここまで事務的なのか、と驚くほどでしたが、厳正、中立に手続きが行われていることは、「社会保険」という仕組みが、正常に働いていることを意味しており、良いことなのかな、と、今は思っています。

「精神の障害年金を請求するのはちょっと。。」

精神のご病気で精神科、心療内科への通院があり、また、精神以外のご病気の治療もされている方の中には、

「障害年金の請求については、精神以外の病気で請求したい。」という意向で問い合わせをいただくこともあります。

ご病状を伺っていると、精神の分野で障害年金の請求をした方が、受給権発生に見込みがあるのですが、「精神の障害年金を請求するのはちょっと。。」という回答で、受任が難しくなるケースがあります。

「障害等級に該当する可能性があるご病気として、精神の分野の方で手続きをしてみませんか?」と伝えても、それを避けるために努力してきた、と言われてしまうと、もう何も言えません。

実際問題、精神の分野で、障害年金を請求していることも、受給していることも、申告しなければ誰にも関知されませんが、この思い込みにより、相当程度、経済的な危機を迎える状況でなければ、請求手続きが進まないことが多く、時間だけが過ぎ、ゆっくりすることもできない状況となると、結果的に、障害年金の請求もできなくなることがあります。(

数ある障害の中の一つ、として、捉えていただき、精神のご病気でも、手続きは進めていく方が良いと思うのです。

(あまり、急ぎ過ぎて、事務錯誤を起こしてもいけませんが、障害年金には「支分権の時効」という考え方もあり、時間が過ぎれば、過ぎるほど、一生涯で得られたはずの障害年金が減ってしまう、という現実もあります。)

「お体を守りながらの、お体の状態に合った障害年金の受給権発生」

障害年金の手続きは、色々な情報が入り、本当に重要な「お体を守りながらの、お体の状態に合った障害年金の受給権発生」という目標が見えなくなってしまうことがあります。

人生に1回、あるか、ないかの手続きで、精神的な不調の中、正確な判断を下して、資料を収集したり、書類を作成することは容易ではありません。

また、周囲で、皆様にアドバイスをしている方は、皆様のためと思い、懸命にメッセージを発しているかもしれませんが、そのアドバイスに基づいてとった行動の責任は皆様に帰属します。

ほんの少し柔軟に考えるだけで、人生は大きく変わる可能性を秘めていますので、何かお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

健康保険の被扶養者の方の場合、扶養されている方の勤務先で加入している健康保険の方で、被扶養者の方がどの程度、収入があるか、確認する場面がありますが、障害年金を収入として申告する必要はあっても、精神の分野であることまで、申告する必要はありません。

この記事を書いた人

中島 孝周(なかじま こうしゅう)

聖学院高等学校、青山学院大学経済学部経済学科卒業
団体職員、都内社会保険労務士事務所勤務を経て、「障害年金の魅力を伝え、多くの人に安心を届けたい」という願いから、2018年11月、「精神」「知的障害」の分野を専門として、障害年金業務に特化した「こうしゅう社会保険労務士事務所」を開業。

現在までに、「精神」「知的障害」の分野のみで、350件以上の請求代行実績がある。

1980年8月2日 栃木県小山市出身
家族:妻 長男

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