分かりづらい障害年金

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

日々、沢山のお問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。

いただいた障害年金の請求についての疑問に対して、ご回答している中、ご自身の身の上を簡単にお話になった上で、「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」という質問を多く受けております。

当事務所では、お問い合わせいただいたお客様に「障害年金の受給を検討されているお客様でよろしいですか?」と確認をさせていただき、その後、保険料を納めていることになるかご病名、年齢、状態等、様々な観点から、聴き取りをし、具体的な手続きの流れについてご案内しております。

今回は、一番初めの「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」という問いそのものをテーマとして、書いてみたい、と思います。

障害年金とは

何故、「障害年金は貰えますか」という問いが生まれるのか?

それは、障害年金の仕組みの部分が大きく影響しています。

障害年金は、社会保険という「保険」の分野の一つであり、保険金を請求するために「保険料を納めていること」になること、そして「万が一の時」である、ということが必要になります。

生命保険や自動車保険では、契約する際に、重要事項説明を受け、ある程度分かり易くした資材を用いて、「このような時には保険金を請求してください」と保険の内容を伝えられます。(約款も渡されますが、全てを読み込んでいる方は非常に少ないと思います。)

しかし、国民年金や厚生年金保険に加入する際、「このような時に保険金を請求してください」と担当者から説明を受けることはありませんし、「万が一の時」が何かを、詳しく伝えられることはありません。

そして、「事が起きてから」、ようやく自身の入っていた「保険」について、確認を行い、
「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」

という流れになります。

同じ「保険」でも、リスクに対して備えている、という意識が持ちづらく、保険の「内容」が分かりづらい、という側面があることは否定できません。

日本年金機構が公開している国民年金・厚生年金保険 障害認定基準から、「精神の障害」の項について、一部、抜粋して、掲載します。

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準

(省略)

第8節/精神の障害 精神の障害による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準
精神の障害については、次のとおりである。

 

令別表
障害の程度障害の状態
国年令別表
1 級精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
2 級精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
厚年令別表第13 級精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
別表第2障害手当金精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えること を必要とする程度のものを2級に、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものを3級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものを障害手当金に該当するものと認定する。
 精神の障害は、多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様である。
 したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する。

(省略)

 

どうでしょうか?

「万が一の時」が極めて分かりづらいものとなっています。
保険でいう「査定(お支払い)」の部分は、「結局、具体的には、どうなるの?」
ということになってしまうのは、仕方がないと思います。

障害年金の申請へ向けて

障害年金を申請することを、正式には「裁定請求」といいます。

その裁定請求手続きにあたり、年金事務所の担当の方に確認していただければ、どのような種類の書類を整えれば良いか、という点については、親切、丁寧に説明を受けることができます。

さらに肢体の不自由さによる障害や人工透析等の内部障害等であれば、公開されている基準で、分かり易く具体的な数値等で表されているものもありますので、ある程度、障害年金が貰えるか、どうか、の話しを聞くこともできるかもしれません。

しかし、「精神」の分野では、「目安」はあっても、その幅が広く、簡単にわかるものではありません。

実しやかに(まことしやかに)、「障害年金は寝たきりの状態でなければ、貰えないもの」という風説すら耳にすることがありますが、そのような認識になってしまう原因は、「分かりづらさ」そのもの、と言っても過言ではありません。

ご病気や障害によって苦しみ、お仕事や生活の面で支障を来しているにもかかわらず、「どうせ無理なのだろう」という誤った自己判断によって、貰えるはずのものが、貰えない、そんな状況が続いているのであれば、そんな寂しいことはありません。

「どうすれば障害年金は貰えるのか」

「何から始めれば良いのか」

当事務所は、「精神」「知的障害」の分野を専門とした障害年金業務に特化した社会保険労務士事務所です。

受給できる可能性があるか、どうか、お問い合わせいただければ、当事務所の「知見」よりお答えし、何から始めたらよいかを含めて、お客様にベストな提案をさせていただきます。

何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

 

【こちらのコラムもご参照ください】

障害年金請求の障害

保険料の免除と障害基礎年金の年金額について

病歴・就労状況等申立書について

障害年金の診断書

障害年金の納付要件について(国民年金の保険料を後で納付した場合)

障害年金はいつから請求できるか

保険料の免除

 

この記事を書いた人

中島 孝周(なかじま こうしゅう)

聖学院高等学校、青山学院大学経済学部経済学科卒業
団体職員、都内社会保険労務士事務所勤務を経て、「障害年金の魅力を伝え、多くの人に安心を届けたい」という願いから、2018年11月、「精神」「知的障害」の分野を専門として、障害年金業務に特化した「こうしゅう社会保険労務士事務所」を開業。

現在までに、「精神」「知的障害」の分野のみで、350件以上の請求代行実績がある。

1980年8月2日 栃木県小山市出身
家族:妻 長男

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