てんかんの障害年金
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、てんかんの障害年金、という題で書いてみたい、と思います。
(複雑になることを避けるため、てんかんと他の「精神」の関係のご病気が併存されている方の場合を除きます)
てんかんの障害年金は、他の「精神」の関係のご病気の障害年金と比べて、ある特徴があります。
まず、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準、精神の障害に係る等級判定ガイドラインを見てみたいと思います。
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
第8節/精神の障害 精神の障害による障害の程度は、次により認定する。
(省略)
C てんかん
(省略)
(2) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
障害の程度 障害の状態 1 級 十分な治療にかかわらず、
てんかん性発作の
A又はBが月に1回以上あり、
かつ、常時の援助が必要なもの2 級 十分な治療にかかわらず、
てんかん性発作の
A又はBが年に2回以上、
もしくは、
C又はDが月に1回以上あり、
かつ、
日常生活が著しい制限を受けるもの3 級 十分な治療にかかわらず、
てんかん性発作の
A又はBが年に2回未満、
もしくは、
C又はDが月に1回未満あり、
かつ、
労働が制限を受けるもの(注1)発作のタイプは以下の通り
A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作(省略)
(3) てんかんの認定に当たっては、その発作の重症度(意識障害の有無、生命の危険性や社会生活での危険性の有無など)や発作頻度に加え、発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果、日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという、社会的活動能力の損減を重視した観点から認定する。
(省略)
精神の障害に係る等級判定ガイドライン
第2 ガイドラインの適用
(省略)
2.対象傷病
このガイドラインの対象とする傷病は、障害認定基準第3第1章第8節精神の障害に定める傷病とする。ただし、「てんかん」については、てんかん発作の重症度や頻度等を踏まえた等級判定を行うことについて障害認定基準で規定していることから、このガイドラインの対象傷病から除く。
(省略)
分かりやすく言えば、「十分な治療にかかわらず」という、という前提の下、「てんかん性発作の回数」が、障害の状態かどうか、の判断に大きく影響し、他の「精神」の関係のご病気と違う基準で、障害の状態か、判断されている、ということです。
お薬で発作が抑制されていれば、障害の状態としては、捉えられず、他の「精神」の関係のご病気について、障害の状態か、判断の基準となっている「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が参考になりません。
このご病気は、ご本人様の意思に関係なく、様々な行動や意識喪失があります。いつ発作が起こるかわからない、という不安を含めて、大変辛いものであり、あえて言えば、その苦しみはご本人様にしかわかりません。
周囲の方にわからないよう、色々な方法をとられている方もいるのではないでしょうか。
しかし、発作により、重大な事態を招いてしまい、責任が取れない様な状況に陥ることも想定されます。
「あわや」で済んでいても、それは非常に危ない状態であり、決して無視できるものではありません。
一度立ち止まって、障害年金の受給を目指してみませんか?
てんかんの障害年金の診断書作成においても、発作時や発作前等で日常生活に制限を受けていることや、就労に関して制限を受けていることを、的確に主治医に伝える必要があります。また、病歴・就労状況等申立書もポイントを押さえて、ミスなく作成する必要があります。
人目につかない所で、発作を我慢し、お体に無理のある仕事を続けている方がおられれば、当事務所にご相談下さい。
よろしくお願いいたします。