障害年金の時効2
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
前回、障害年金の「2ヵ月に1回の支給を生む権利」(基本権)の時効について書きました。
今回は障害年金の「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利」(支分権)の時効について書きたいと思います。
通常、年金は2、4、6、8、10、12月(偶数月)に、前2カ月分が支給されます。
2月は12、1月分が支給、4月は2、3月分が支給、といった形です。
そして、この「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利」(支分権)は、実際に貰うはずだった、2、4、6、8、10、12月(偶数月)の翌月初日、つまり、1、3、5、7、9、11月(奇数月)の初日から5年間で消滅することになっています。
請求する方が、通常の手続きをしたにもかかわらず、日本年金機構の事務処理誤り等が関係して、時間が過ぎてしまった場合や、日本年金機構に、記録されていなかった年金記録が見つかったことで、記録が訂正されたような場合が無い限り、「年金裁定請求の遅延に関する申立書」を提出しても、時効によって消滅してしまいます。
「2ヵ月に1回の支給を生む権利」があれば、得られたはずの、5年前の「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利」は、「2ヵ月に1回の支給を生む権利」が発生していなくても(つまり、障害年金を請求していなくても)、奇数月の初日が来るたびに、消えてしまう、ということです。
「権利の上に眠るものは保護に値せず」という厳しい格言がありますが、知らないで時間が過ぎていくことは「損」です。
5年以上前の遡り受給は無い、ということになりますから、未来に向かっては、時間が過ぎれば過ぎるほど、一生涯で貰える年金が減っている可能性があるのです。
ご相談は、お早めにお願いいたします。
参考
最高裁判例 平成29(行ヒ)44 障害年金請求事件 平成29年10月17日