遡り請求と事後重症請求
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
前回、前々回で書いた「初診日」「障害認定日」および、障害の状態か「判断の対象となる時期」から、更に、今回は「遡り請求」と「事後重症請求」について書いてみたいと思います。(時効の考え方は、今回のコラムには入れていません。)
「遡り請求」とは、「障害認定日における請求」もしくは「20歳到達時における請求」という法令上の位置付けがなされています。手続きとしては、前回、1.から3.で示した時期に治療を受けた際のカルテに基づく診断書等から、「障害の状態」か判断するものです。「障害認定日」もしくは「20歳到達時」が、請求関係書類が年金事務所に受付される日より1年以上前であれば、4.の期間に治療を受けた際のカルテに基づく診断書等も必要になり、併せて「障害の状態」か判断されます。
1.から3.および4.の期間において「障害の状態」と認められた場合は、「障害認定日の属する月」もしくは「20歳の誕生日の前日の属する月」の翌月から、障害年金の支給が開始されます。
「事後重症請求」とは、「障害認定日もしくは20歳到達時の後、65歳の誕生日の前々日までの請求」という法令上の位置付けがなされています。手続きとしては、4.の期間に治療を受けた際のカルテに基づく診断書等から「障害の状態」か判断するものです。
「障害の状態」と認められた場合、「障害年金の請求関係書類が年金事務所にて受付された日の属する月」の翌月から、障害年金の支給が開始されます。
尚、「遡り請求」を行った結果、1.から3.の期間においては「障害の状態」に無いが、4.の期間においては「障害の状態」と認められた場合も、「障害年金の請求関係書類が年金事務所にて受付された日の属する月」の翌月から、障害年金の支給が開始されます。
実は、お問い合わせの多くが、この「遡り請求」について、です。
当事務所では、この「遡り請求」も併せた「受給の可能性」について、判断します。
参考条文
国民年金法
第三節 障害基礎年金
(支給要件)
第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。(省略)
一 被保険者であること。
二 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
第三十条の二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、当該傷病に係る初診日において前条第一項各号のいずれかに該当した者であつて、障害認定日において同条第二項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかつたものが、同日後六十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に同条第一項の障害基礎年金の支給を請求することができる。(省略)
第三十条の四 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。
2 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者(同日において被保険者でなかつた者に限る。)が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日後において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日後において、その傷病により、六十五歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に前項の障害基礎年金の支給を請求することができる。
厚生年金保険法
第三節 障害厚生年金及び障害手当金
(障害厚生年金の受給権者)
第四十七条 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。(省略)
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
第四十七条の二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であつた者であつて、障害認定日において前条第二項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかつたものが、同日後六十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に同条第一項の障害厚生年金の支給を請求することができる。(省略)