障害年金が支給停止になったとしても
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
お問い合わせをいただく中で、「仕事をしていると障害年金は止まってしまいますか」という質問をよく受けます。
障害認定基準では「労働に制限を受けている」ことをもって、障害の状態と捉える障害年金と、捉えない障害年金の2つがあります。
原則として「人工透析療法施行中のもの」「人工弁を装着したもの」等の障害年金では「労働に制限を受けている」ことをもって、障害の状態と捉えず、「精神」の障害年金では「労働に制限を受けている」ことをもって、障害の状態と捉えます。
私は主に「精神」の分野を専門にして障害年金請求代行を行っていますので、「お仕事の状況は等級認定や支給に影響します」とお答えしています。
「精神」の障害年金は受給権を取得後、1~5年後のどこかで、指定された月に「障害状態確認届」(つまり診断書です)を日本年金機構に提出することとなっており、その後、障害年金がどうなるか決まります。ここで、受給権をお持ちの方は「少しは元気になってきた。けど、障害年金がどうなってしまうか、わからない」等の「不安」に苛(さいな)まれ、悩まれてしまうのだと思います。
確かなことは、法令上、支給が停止する可能性はあります。が、少なくとも65歳の誕生日の前々日までは、「失権」することはありません。
そして、支給が停止したとしても、その後、再度、お体の具合が悪くなってしまった、ということであれば、「支給停止事由消滅届」によって、支給を再開させることができます。
当事務所では、「支給停止事由消滅届」のサポートも行っております。
「不安」が少しでも「安心」に変われば、と思います。
参考条文
国民年金法
第三節 障害基礎年金
第三十五条
障害基礎年金の受給権は、第三十一条第二項の規定(併合認定)によつて消滅するほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 厚生年金保険法第四十七条第二項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、六十五歳に達したとき。ただし、六十五歳に達した日において、同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過していないときを除く。
三 厚生年金保険法第四十七条第二項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過したとき。ただし、三年を経過した日において、当該受給権者が六十五歳未満であるときを除く。
第三十六条
2 障害基礎年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつたときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。(省略)
厚生年金保険法
第三節 障害厚生年金及び障害手当金
第五十三条
障害厚生年金の受給権は、第四十八条第二項の規定(併合認定)によつて消滅するほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、六十五歳に達したとき。ただし、六十五歳に達した日において、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過していないときを除く。
三 障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過したとき。ただし、三年を経過した日において、当該受給権者が六十五歳未満であるときを除く。
第五十四条
2 障害厚生年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつたときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。(省略)
国民年金法施行規則
第三十六条の四
障害基礎年金の受給権者であつて、その障害の程度の審査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前一月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を機構に提出しなければならない。ただし、当該障害基礎年金の額の全部につき支給が停止されているときは、この限りでない。
厚生年金保険法施行規則
第五十一条の四
障害厚生年金の受給権者であつて、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前一月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を機構に提出しなければならない。ただし、当該障害厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは、この限りでない。