コラム
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
前回、障害年金の「2ヵ月に1回の支給を生む権利」(基本権)の時効について書きました。
今回は障害年金の「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利」(支分権)の時効について書きたいと思います。
通常、年金は2、4、6、8、10、12月(偶数月)に、前2カ月分が支給されます。
2月は12、1月分が支給、4月は2、3月分が支給、といった形です。
そして、この「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利」(支分権)は、実際に貰うはずだった、2、4、6、8、10、12月(偶数月)の翌月初日、つまり、1、3、5、7、9、11月(奇数月)の初日から5年間で消滅することになっています。
請求する方が、通常の手続きをしたにもかかわらず、日本年金機構の事務処理誤り等が関係して、時間が過ぎてしまった場合や、日本年金機構に、記録されていなかった年金記録が見つかったことで、記録が訂正されたような場合が無い限り、「年金裁定請求の遅延に関する申立書」を提出しても、時効によって消滅してしまいます。
「2ヵ月に1回の支給を生む権利」があれば、得られたはずの、5年前の「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利」は、「2ヵ月に1回の支給を生む権利」が発生していなくても(つまり、障害年金を請求していなくても)、奇数月の初日が来るたびに、消えてしまう、ということです。
「権利の上に眠るものは保護に値せず」という厳しい格言がありますが、知らないで時間が過ぎていくことは「損」です。
5年以上前の遡り受給は無い、ということになりますから、未来に向かっては、時間が過ぎれば過ぎるほど、一生涯で貰える年金が減っている可能性があるのです。
ご相談は、お早めにお願いいたします。
参考
最高裁判例 平成29(行ヒ)44 障害年金請求事件 平成29年10月17日
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
先日、「遡り請求」と「事後重症請求」について書きました。
今回は「遡り請求」をする上で、避けては通れない、「障害年金の時効」について書いてみたいと思います。
障害年金を受給するには、「請求」することが必要です。
その上で、「いつまでなら請求できるのか」、という点が重要になります。
答えとしては、「請求するだけなら、今のところ、いつでも大丈夫」ということになっています。(あくまでも「請求するだけなら」です。)
障害年金は「2ヵ月に1回の支給を生む権利」(基本権)と「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利」(支分権)に分かれています。
この「2ヵ月に1回の支給を生む権利」は、本来は、障害認定日の翌日から5年間で時効によって消滅することになっていますが、日本年金機構の方で、「年金裁定請求の遅延に関する申立書」を提出すれば、時効にしない、という決まりがあります。
こちらについては、安心していることができます。
ところが、「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利」(支分権)は1、3、5、7、9、11月(奇数月)の初日に、5年前の2ヵ月分は消滅してしまうのです。
次回は、この「2ヵ月に1回の支給が生まれて、実際に貰う権利(支分権)」の時効について書きます。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今日は、うつ病や、発達障害等で、お仕事に支障がある方に、何か助けになれば、と思い、「メッセージ」を書いてみたいと思います。
日々、お問い合わせの電話を頂いて、お話をしていると、色々な質問を受けます。そして、お客様の中には「何とかして自分だけで手続きを済ませたい。」という思いがあるのかな?と感じることがあります。
お気持ちはとても良く分かります。
私のような社会保険労務士に依頼すれば、「費用」がかかってしまうのですから。
しかし、障害年金を請求するにあたり、ご自分だけで手続きを進めることには、多くの「困難」があります。
特に、ご病気の関係についてポイントを押さえて、主治医の先生に伝えたり、病歴や就労状況を的確に申立書にまとめる作業をしたり、書類の不備を確認したり、労働・社会保険の諸法令全体から一番良い手続きを選ぶことなどは、お一人では大変です。
これらの「煩わしい」ものを、私のような社会保険労務士に依頼してしまった方が、ご自分で進めるより、はるかに「簡単」ではないでしょうか。
私は、毎日「精神」「知的障害」の障害年金を専門として仕事をしている社会保険労務士です。お話して、数分で見通しが立てられます。
そもそも、受給に至らない限り、当事務所に報酬がありませんので、お話したうえで、私の方で手続きを進めている方は、ほとんど受給に至ります。
私にとっての「精神」「知的障害」の障害年金請求代行の仕事は、「簡易な事務作業」です。好きで仕事をしていますし、毎日していることですから。
お客様の「一生に1回あるか、ないか」を、私は「毎日」しています。
要件を満たしている方を、確実に、受給に導くこと。つまり、精神科、心療内科等に通いながら、お仕事ができない不安を抱えている方に、経済的な安心を通して、「ゆっくりと休む環境」を提供すること。
これが、毎日「精神」「知的障害」の障害年金を専門として仕事をしている社会保険労務士として追求するべきところです。
請求書類を受付してもらうこと自体を目的にしているのであれば、ご自分でもできます。
しかし、受給までの道のりを安心して過ごしながら、正確に進むのであれば、「精神」「知的障害」の障害年金を専門として仕事をしている社会保険労務士に依頼する方が「簡単」です。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
前回、前々回で書いた「初診日」「障害認定日」および、障害の状態か「判断の対象となる時期」から、更に、今回は「遡り請求」と「事後重症請求」について書いてみたいと思います。(時効の考え方は、今回のコラムには入れていません。)
「遡り請求」とは、「障害認定日における請求」もしくは「20歳到達時における請求」という法令上の位置付けがなされています。手続きとしては、前回、1.から3.で示した時期に治療を受けた際のカルテに基づく診断書等から、「障害の状態」か判断するものです。「障害認定日」もしくは「20歳到達時」が、請求関係書類が年金事務所に受付される日より1年以上前であれば、4.の期間に治療を受けた際のカルテに基づく診断書等も必要になり、併せて「障害の状態」か判断されます。
1.から3.および4.の期間において「障害の状態」と認められた場合は、「障害認定日の属する月」もしくは「20歳の誕生日の前日の属する月」の翌月から、障害年金の支給が開始されます。
「事後重症請求」とは、「障害認定日もしくは20歳到達時の後、65歳の誕生日の前々日までの請求」という法令上の位置付けがなされています。手続きとしては、4.の期間に治療を受けた際のカルテに基づく診断書等から「障害の状態」か判断するものです。
「障害の状態」と認められた場合、「障害年金の請求関係書類が年金事務所にて受付された日の属する月」の翌月から、障害年金の支給が開始されます。
尚、「遡り請求」を行った結果、1.から3.の期間においては「障害の状態」に無いが、4.の期間においては「障害の状態」と認められた場合も、「障害年金の請求関係書類が年金事務所にて受付された日の属する月」の翌月から、障害年金の支給が開始されます。
実は、お問い合わせの多くが、この「遡り請求」について、です。
当事務所では、この「遡り請求」も併せた「受給の可能性」について、判断します。
参考条文
国民年金法
第三節 障害基礎年金
(支給要件)
第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。(省略)
一 被保険者であること。
二 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
第三十条の二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、当該傷病に係る初診日において前条第一項各号のいずれかに該当した者であつて、障害認定日において同条第二項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかつたものが、同日後六十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に同条第一項の障害基礎年金の支給を請求することができる。(省略)
第三十条の四 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。
2 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者(同日において被保険者でなかつた者に限る。)が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日後において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日後において、その傷病により、六十五歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に前項の障害基礎年金の支給を請求することができる。
厚生年金保険法
第三節 障害厚生年金及び障害手当金
(障害厚生年金の受給権者)
第四十七条 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。(省略)
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
第四十七条の二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であつた者であつて、障害認定日において前条第二項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかつたものが、同日後六十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に同条第一項の障害厚生年金の支給を請求することができる。(省略)
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
前回、「初診日」「障害認定日」という2つの日付について、書きました。
今回は、障害年金の請求では、障害の状態か、判断の対象となる「時期」が限られている、ということを書きたいと思います。
障害年金では、一部の請求を除き、以下の時期に、治療を受けた際のカルテに基づいた診断書以外、例外を除いては、認定の対象として認められません。
初診日が、20歳の誕生日の前日以後にある方、もしくは、
厚生年金保険等に加入している間(お勤めされていた期間)にある方は、
1.→障害認定日以後3ヵ月以内。初診日が、20歳の誕生日の前々日以前にあり、かつ、
厚生年金保険等に加入している間(お勤めされていた期間)にない方で、
障害認定日が20歳の誕生日以後にある方は、
2.→障害認定日の前後3ヵ月以内。
障害認定日が20歳の誕生日前日以前にある方は、
3.→20歳の誕生日前日の前後3ヵ月以内。4. 1.から3.の時期以降は、障害年金の請求書類の受付日以前3ヵ月以内。
お体の具合や、経済的な事情で、治療を受けることが厳しい、という方もおられます。しかし判断の対象となる「時期」に治療が無ければ、その際のカルテに基づいた診断書も取れず、障害年金の請求ができない、という事態も想定されます。
お住いの自治体で、自立支援医療制度等、治療に関するサポートも行われています。
病気のために、お仕事ができない等のご事情があれば、「不安」を「経済的な安心」に変えるためにも、治療を受けることが第一、となります。
よろしくお願いいたします。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、障害年金はいつから請求できるか、について書いてみたいと思います。
障害年金がいつから請求できるか、は2つの日付で決まります。
(複雑になることを避けるため、基本的な事項のみ、簡単に記載します)
まず、「初診日」という日付です。これは、
- 病気や負傷で、初めて医師または歯科医師の診察、検査、処置、投薬、手術、その他の治療等(以下、「治療」とします。)を受けた日。
- 1の原因になる病気について、初めて医師または歯科医師の治療を受けた日。
となります。
(例を挙げれば、うつ病の治療で通院中の方が、それ以前に、ストレス性の不眠症で通院していれば、2.が「初診日」となります)
尚、同一の病気や負傷の関係で医療機関が変わった場合は、一番初めに医師または歯科医師の治療を受けた日となります。よくある誤解で、「病名が確定した日」ではありません。ご注意ください。
次に「障害認定日」という日付です。これは、
- 「初診日」から1年6ヵ月を経過した日。
- 「初診日」から1年6ヵ月を経過した日より前に、その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った場合は、至った日。
となります。
この「障害認定日」の時期以降でなければ、障害年金は請求できません。
一部を除き、長い時間をかけて「障害の状態」になる、ということがお分かりいただければ、と思います。
よろしくお願いいたします。
参考条文
国民年金法
第三節 障害基礎年金
(支給要件)
第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。(省略)
一 被保険者であること。
二 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
厚生年金保険法
第三節 障害厚生年金及び障害手当金
(障害厚生年金の受給権者)
第四十七条 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。(省略)
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
参考資料
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
第1 一般的事項
1 障害の状態
障害基礎年金、障害厚生年金及び障害手当金が支給される「障害の状態」とは、身体又は精神に、国民年金法施行令(昭和 34 年政令第 184 号)別表(厚生年金保険法施行令(昭和 29年政令第 110 号)第 3 条の 8 において厚生年金保険の 1 級及び 2 級の障害の 状態とされる場合を含む。以下「国年令別表」という。)、厚生年金保険法施行令別表 第1(以下「厚年令別表第1」という。)及び厚生年金保険法施行令別表第2(以下 「厚年令別表第2」という。)に定める程度の障害の状態があり、かつ、その状態が長期 にわたって存在する場合をいう。
2 傷病
- 「傷病」とは、疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病を総称したものをいう。
- 「起因する疾病」とは、前の疾病又は負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうというように、前の疾病又は負傷との間に相当因果関係があると認められる場合をいい、負傷は含まれないものである。
3 初診日
「初診日」とは、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう。
4 障害認定日
「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日 から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいう。
5 傷病が治った場合
「傷病が治った場合」とは、器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合 は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
お問い合わせをいただく中で、「仕事をしていると障害年金は止まってしまいますか」という質問をよく受けます。
障害認定基準では「労働に制限を受けている」ことをもって、障害の状態と捉える障害年金と、捉えない障害年金の2つがあります。
原則として「人工透析療法施行中のもの」「人工弁を装着したもの」等の障害年金では「労働に制限を受けている」ことをもって、障害の状態と捉えず、「精神」の障害年金では「労働に制限を受けている」ことをもって、障害の状態と捉えます。
私は主に「精神」の分野を専門にして障害年金請求代行を行っていますので、「お仕事の状況は等級認定や支給に影響します」とお答えしています。
「精神」の障害年金は受給権を取得後、1~5年後のどこかで、指定された月に「障害状態確認届」(つまり診断書です)を日本年金機構に提出することとなっており、その後、障害年金がどうなるか決まります。ここで、受給権をお持ちの方は「少しは元気になってきた。けど、障害年金がどうなってしまうか、わからない」等の「不安」に苛(さいな)まれ、悩まれてしまうのだと思います。
確かなことは、法令上、支給が停止する可能性はあります。が、少なくとも65歳の誕生日の前々日までは、「失権」することはありません。
そして、支給が停止したとしても、その後、再度、お体の具合が悪くなってしまった、ということであれば、「支給停止事由消滅届」によって、支給を再開させることができます。
当事務所では、「支給停止事由消滅届」のサポートも行っております。
「不安」が少しでも「安心」に変われば、と思います。
参考条文
国民年金法
第三節 障害基礎年金
第三十五条
障害基礎年金の受給権は、第三十一条第二項の規定(併合認定)によつて消滅するほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 厚生年金保険法第四十七条第二項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、六十五歳に達したとき。ただし、六十五歳に達した日において、同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過していないときを除く。
三 厚生年金保険法第四十七条第二項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過したとき。ただし、三年を経過した日において、当該受給権者が六十五歳未満であるときを除く。
第三十六条
2 障害基礎年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつたときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。(省略)
厚生年金保険法
第三節 障害厚生年金及び障害手当金
第五十三条
障害厚生年金の受給権は、第四十八条第二項の規定(併合認定)によつて消滅するほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、六十五歳に達したとき。ただし、六十五歳に達した日において、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過していないときを除く。
三 障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過したとき。ただし、三年を経過した日において、当該受給権者が六十五歳未満であるときを除く。
第五十四条
2 障害厚生年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつたときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。(省略)
国民年金法施行規則
第三十六条の四
障害基礎年金の受給権者であつて、その障害の程度の審査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前一月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を機構に提出しなければならない。ただし、当該障害基礎年金の額の全部につき支給が停止されているときは、この限りでない。
厚生年金保険法施行規則
第五十一条の四
障害厚生年金の受給権者であつて、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前一月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を機構に提出しなければならない。ただし、当該障害厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは、この限りでない。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、以前コラムで書いた「*」と同じ、年金事務所でお客様ごとに取得する「納付記録(被保険者記録照会)」に記載される記号について紹介します。
「/」の意味は「第2号被保険者期間(厚生年金保険等に加入されていた期間)又は無資格期間」です。
年金事務所にてお客様の納付記録を確認をする際、出力された記録に////////と並んでいる時は細心の注意を払います。
それは、一見すると「ずっと会社勤めされていた方」のようにも見えますが、そうでは無い時もあるからです。
他の帳票と突き合わせをし、「第2号被保険者期間」もしくは「無資格期間」どちらであるかを判断します。
基本的に国民年金は、日本に住んでいれば、国籍関係なく、特段の事情が無い限りは、厚生年金保険に入っている方や入っている方の配偶者以外、20歳から60歳までの方は全て、「第1号被保険者」になっており、その期間の「無資格」はあり得ないのですが、自営業や無職になったとき、配偶者の離職等により被扶養者でなくなったとき、海外在住の方が日本に住むことになったとき等、市区町村に届出(資格取得や種別変更といいます)をせず、結果的に年金の記録上、「無資格」という状態が生じてしまうのです。
このようなことから、「国民皆年金」は、一人ひとりの手続きが無いと完成しない、と言えるかもしれません。
障害年金の納付要件にも影響します。
ご自身や配偶者の方のお仕事の関係が変化した等のとき、手続きをお忘れないよう、お願いします。
参考条文
国民年金法
第十二条 被保険者(第三号被保険者を除く。次項において同じ。)は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。
2 被保険者の属する世帯の世帯主(以下単に「世帯主」という。)は、被保険者に代つて、前項の届出をすることができる。
国民年金法施行規則
第一章の二 被保険者
(資格取得の届出)
第一条の二 法第十二条第一項の規定による第一号被保険者(法第七条第一項第一号に規定する第一号被保険者をいう。以下同じ。)の資格の取得の届出は、当該事実があつた日から十四日以内に、次の各号に掲げる事項を記載した届書を市町村長(特別区にあつては、区長とする。第二章第一節を除き、以下同じ。)に提出することによつて行わなければならない。
一 氏名、性別、生年月日及び住所
二 国民年金手帳を所持し、かつ、当該国民年金手帳に記載されている氏名に変更があるものにあつては、変更前の氏名
三 資格取得の年月日及びその理由
四 第一条各号に規定する者のいずれかに該当するものにあつては、基礎年金番号
(被保険者の種別変更の届出)
第六条の二 法第十二条第一項の規定による被保険者の種別の変更の届出(第一号被保険者又は第三号被保険者が第二号被保険者(法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者をいう。以下同じ。)(厚生年金保険法第二条の五第一項第一号に規定する第一号厚生年金被保険者(以下「第一号厚生年金被保険者」という。)にあつては、厚生年金保険法第十八条第一項の規定により機構が当該第一号厚生年金被保険者の資格の取得を確認した場合の当該第一号厚生年金被保険者に、共済組合の組合員又は私学教職員共済制度の加入者にあつては、法附則第八条の規定により機構が当該組合員又は私学教職員共済制度の加入者に関する資料の提供を受けた場合の当該組合員又は私学教職員共済制度の加入者に限る。)となつたことによる被保険者の種別の変更の届出を除く。)は、当該事実があつた日から十四日以内に、次の各号に掲げる事項を記載した届書を市町村長に提出することによつて行わなければならない。
一 氏名、性別、生年月日及び住所
二 第一号厚生年金被保険者である第二号被保険者が第一号被保険者となつたことによる被保険者の種別の変更の届出を行う者であつて、国民年金手帳を所持し、かつ、当該国民年金手帳に記載されている氏名に変更があるものにあつては、変更前の氏名
三 被保険者の種別の変更があつた年月日及びその理由
四 基礎年金番号
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
お問い合わせをいただく中で、「神経症では障害年金は貰えないのですよね」とおっしゃる方が多く、今回は「神経症」のことを書きたいと思います。
たしかに、「原則」はそのようになっています。
しかし、障害年金では、親身になって下さっている主治医の「判断」が重要です。
障害年金の「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」で
第8節/精神の障害精神の障害による障害の程度は、次により認定する。
1 認定基準 精神の障害については、次のとおりである。
(省略)
A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害
(5) 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分 に属す病態であるかを考慮し判断すること。
となっています。
残念なことに「神経症としての病名」をもって、「認定の対象とならない」という誤解が生じ、障害年金を諦めている方がおられます。
確かに、「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。」のは事実ですが、「絶対」ではありません。
私の仕事は、お客様が障害年金を受給できるようサポートすることです。
受給を希望されている方は、ぜひご相談ください。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
「支給の繰上げ」をご存知でしょうか。
本来の支給開始年齢である「65歳」に到達する前に、一生涯、減額された形の年金でいいから、早く年金を貰いたい、という方のものです。
「生活する上でやむを得ない」「いつ死んでしまうかわからないし、65歳まで待てない」等、考え方は色々ですが、気を付けなければならないことがあります。
それは支給の繰上げ手続きをした後は、それ以降に起こった事故、病気による障害年金や、それまで治療されていた病気が悪化したことによる障害年金が一部請求できなくなる、ということです。
「60歳より前に初診日がある」「60歳以降も厚生年金保険等に加入している」といった方であれば可能性はあるのですが、そのようなケースはとても珍しいです。
いつ亡くなるか、いつ障害状態になってしまうのか、それは神様にしかわかりません。
「支給の繰上げ」
よく考えてから、決断を下してください。