コラム
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
日々、沢山のお問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。
いただいた障害年金の請求についての疑問に対して、ご回答している中、ご自身の身の上を簡単にお話になった上で、「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」という質問を多く受けております。
当事務所では、お問い合わせいただいたお客様に「障害年金の受給を検討されているお客様でよろしいですか?」と確認をさせていただき、その後、保険料を納めていることになるか、ご病名、年齢、状態等、様々な観点から、聴き取りをし、具体的な手続きの流れについてご案内しております。
今回は、一番初めの「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」という問いそのものをテーマとして、書いてみたい、と思います。
障害年金とは
何故、「障害年金は貰えますか」という問いが生まれるのか?
それは、障害年金の仕組みの部分が大きく影響しています。
障害年金は、社会保険という「保険」の分野の一つであり、保険金を請求するために「保険料を納めていること」になること、そして「万が一の時」である、ということが必要になります。
生命保険や自動車保険では、契約する際に、重要事項説明を受け、ある程度分かり易くした資材を用いて、「このような時には保険金を請求してください」と保険の内容を伝えられます。(約款も渡されますが、全てを読み込んでいる方は非常に少ないと思います。)
しかし、国民年金や厚生年金保険に加入する際、「このような時に保険金を請求してください」と担当者から説明を受けることはありませんし、「万が一の時」が何かを、詳しく伝えられることはありません。
そして、「事が起きてから」、ようやく自身の入っていた「保険」について、確認を行い、
「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」
という流れになります。
同じ「保険」でも、リスクに対して備えている、という意識が持ちづらく、保険の「内容」が分かりづらい、という側面があることは否定できません。
日本年金機構が公開している国民年金・厚生年金保険 障害認定基準から、「精神の障害」の項について、一部、抜粋して、掲載します。
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
(省略)
第8節/精神の障害 精神の障害による障害の程度は、次により認定する。
1 認定基準
精神の障害については、次のとおりである。
令別表
障害の程度 障害の状態 国年令別表
1 級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの 2 級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの 厚年令 別表第1 3 級 精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの 別表第2 障害手当金 精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えること を必要とする程度のものを2級に、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものを3級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものを障害手当金に該当するものと認定する。
精神の障害は、多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様である。
したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する。(省略)
どうでしょうか?
「万が一の時」が極めて分かりづらいものとなっています。
保険でいう「査定(お支払い)」の部分は、「結局、具体的には、どうなるの?」
ということになってしまうのは、仕方がないと思います。
障害年金の申請へ向けて
障害年金を申請することを、正式には「裁定請求」といいます。
その裁定請求手続きにあたり、年金事務所の担当の方に確認していただければ、どのような種類の書類を整えれば良いか、という点については、親切、丁寧に説明を受けることができます。
さらに肢体の不自由さによる障害や人工透析等の内部障害等であれば、公開されている基準で、分かり易く具体的な数値等で表されているものもありますので、ある程度、障害年金が貰えるか、どうか、の話しを聞くこともできるかもしれません。
しかし、「精神」の分野では、「目安」はあっても、その幅が広く、簡単にわかるものではありません。
実しやかに(まことしやかに)、「障害年金は寝たきりの状態でなければ、貰えないもの」という風説すら耳にすることがありますが、そのような認識になってしまう原因は、「分かりづらさ」そのもの、と言っても過言ではありません。
ご病気や障害によって苦しみ、お仕事や生活の面で支障を来しているにもかかわらず、「どうせ無理なのだろう」という誤った自己判断によって、貰えるはずのものが、貰えない、そんな状況が続いているのであれば、そんな寂しいことはありません。
「どうすれば障害年金は貰えるのか」
「何から始めれば良いのか」
当事務所は、「精神」「知的障害」の分野を専門とした障害年金業務に特化した社会保険労務士事務所です。
受給できる可能性があるか、どうか、お問い合わせいただければ、当事務所の「知見」よりお答えし、何から始めたらよいかを含めて、お客様にベストな提案をさせていただきます。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
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障害年金の納付要件について(国民年金の保険料を後で納付した場合)
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今年も残すところ、あと3週間程となりました。
色々な方に支えていただき、当事務所も1周年を迎えられたことを感謝しております。
おかげさまで、現在までに、多くのお客様にご利用いただき、障害年金の受給権による経済的な安心をお届けすることができました。
誠にありがとうございます。
ご契約いただいているお客様から「この後、更新の時は、どうすれば良いですか?」という質問が数多く寄せられていますので、本日は、障害年金の更新、という題で書いてみたい、と思います。
障害年金の更新
障害年金は受給権を取得すると、その後の手続きは、「有期認定」と「永久認定」の道に分かれていきます。
有期認定の場合
年金証書がお手元に届きましたら、年金証書右下をご確認ください。次回診断書提出年月に日付が記載されている場合は「有期認定」となります。
「有期認定」では、受給し始めてから1~5年後の誕生日月の3ヵ月前の月末までに、日本年金機構から診断書(「障害状態確認届」といいます。)がご自宅に郵送されますので、それをかかりつけの医療機関に持参していただきます。
その時点の状態について、かかりつけの主治医に、診断書の作成を依頼し、出来上がった診断書は、日本年金機構に郵送、もしくは年金事務所や市区町村の窓口に持参して提出します。
「有期」の認定ですから、「区切り」がある、ということであり、その「区切り」の節目でお体の具合を確認し、支給が継続するか、否か、が決まることになります。
ここで重要なことは、この「節目」でお体の具合が回復しており、更新されなかったとしても、受給権そのものが消えてしまう訳ではなく、再度、具合が悪い状態になった場合、65歳以降の失権事由に該当するまでは、いつでも支給を再開する手続きがあります。
(これを「支給停止事由消滅届」といいます。)
ですから、支給停止を過度に怖がる必要は全くない、と言えます。
尚、お客様の中には、生活環境の変化や経済的な事情等から、通院を自ら中断してしまう方や、転院はしたものの、タイミングが悪く、更新の時期まで、転院先での通院期間が極端に短くなってしまう方がおります。そのような中、日本年金機構から診断書が郵送され、更新の時期になって、慌てて、主治医に診断書の作成を依頼しても、お客様の実情が反映されない形の診断書が出来上がってしまうことがあり得ます。
主治医の方でも困惑せざるを得ず、頼んだ方も頼まれた方も嫌な気持ちになってしまい、信頼関係にも影響しますので、このような事態を避けるためにも、定期的な通院をしていただき、転院の際には、紹介状(診療情報提供書)を、元の主治医に作成していただくことをお勧めします。
永久認定
年金証書右下の次回診断書提出年月の欄に**が入っています。
「永久認定」では、「有期認定」のような手続きはありません。
「更新の診断書が無くて、良いな」と思う方もいるかもしれませんが、「永久認定」については、私の方で今まで請求代行をサポートさせていただいたお客様の中でも「下肢の切断」の方等、一握りの方々のみで、ほとんどの方は、「有期認定」となります。
更新の話題に併せて
支給差し止めと障害状態不該当届
「精神」の障害年金は症状が固定すること無く、お元気になる可能性を多分に含んでいることから、やはり「有期認定」として、受給権を取得してから1~5年後の誕生日月までに、改めて、診断書を提出するようになっています。
ここで注意しなければならないことは、更新の際に診断書を出さなければ、1~5年後の誕生日月の分で支給が「差し止め」という状態になってしまうことです。
これは日本年金機構からすると、「この人は元気になっているのか?それとも、まだ体調が悪いのか?わからない…」という認識となるため「とりあえず保留にしておこう」という判断がなされ、支給されるべき年金が、日本年金機構に留め置かれてしまうものです。
お客様の中には自ら「もうかなり元気になっているし、どうせ更新されないだろう」と諦め、提出を放棄する方がおります。
しかし、少なくとも提出さえすれば、1~5年後の誕生日月の翌翌翌月分までの支給はされます。提出するだけで、貰えるのですから、出さないことは、確実に「損」となるのです。
さらに、法令では、更新時期の診断書は届け出を義務としており、もし「更新は諦めよう」と心に決めているのならば、「障害状態不該当届」という書類を別に提出する必要があります。
いずれにせよ、診断書を提出した方が得、ということがおわかりいただければ、と思います。
当事務所では、障害年金請求代行等ご契約いただいたお客様に、その後の更新時の無料アドバイスをサービスで行っております。
「精神」「知的障害」の障害年金であれば、当事務所にご依頼ください。
よろしくお願いいたします。
自転車
千代田区指定の自転車置き場を借りることができ、年金事務所を始め、関係医療機関、健康保険組合等、自転車で出向くことができるようになりました。とても便利です(^-^)
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【参考法令・通達】
国民年金法第七十三条
国民年金法第百五条第
国民年金法施行規則第三十三条の七
国民年金法施行規則第三十六条の四
国民年金法施行規則第六十九条
厚生労働省 年管発1228第5号
厚生年金保険法第七十八条
厚生年金保険法第九十八条
厚生年金保険法施行規則第第四十八条
厚生年金保険法施行規則第五十一条の四
厚生年金保険法施行規則第五十二条
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
障害年金請求代行、サポートを仕事としていて、一番嬉しいことは、やはり、受給に至ったお客様からの感謝の声です。
「ありがとうございました。」
「少しですけれど、これで、生活が楽になります。」
「もう、行きたくないパートに行かなくてもいいのですね。」
色々な声があります。
障害年金の手続きは、ある意味、お客様との二人三脚であり、結果が出るまでの長い闘い、でもあります。
手続きを進めていく中でわかる国民年金保険料の未納や、伺っていた初診日よりも前に通院されていた医療機関がわかることによる請求方針の立て直し、資料取得にあたり関係機関から協力を得られない場合の対応等、請求関係書類を適切な形で窓口に提出するまでの「障害」があります。
そして、結果を待つ間、「不安」であっても、審査状況確認専用ダイヤルでは、審査状況の回答しか行っておらず、結果を教えてはくれませんし、日本年金機構内部で審査が終わっていたとしても、厚生労働省の方で決定がされるまでは、年金事務所の窓口に問い合わせても、結果がわかることはありません。(※)
このようなことから、手続き開始から、結果が出るまで、諦めそうになったり、投げやりな気持ちになってしまうお客様もおられます。
それでも、受給に至った時には、全てが終わり、多くの方は、前に向かって、現実的な歩みを進めています。
当事務所は、「障害」を乗り越える「打開策」をご提案し、乗り越えなくても良い「障害」の回避を徹底しております。また、現在までに培った知見から、予想される等級や、今後の見通しをお伝えし、社会保険全体を通してのアドバイスをさせていただくことで、不安が少しでも軽減されるよう努めています。そして、手続きを迅速に行い、年金事務所に出向く際には、頂いている委任状にて、結果を待っているお客様の審査状況等を確認し、一刻も早く、結果をお伝えできる様にしております。
生きていくにはお金がかかりますし、医療機関への通院も、生活保護を受けておられなければ、無料とはなりません。
「無理して働くしかない。」
「お金のために仕方ない。」
辛い気持ちの中で、ほんの一部ですが、経済的な事情による苦痛が和らぎ、「何とかなるかもしれない」という希望が生まれることは、障害年金の持つ力なのだと思います。
「何のための障害年金なのか」
この問いには「免除申請を含めて、保険料を納めてきたことになる方、初診日が20歳到達前にある方全ての、経済的な安心、幸せ」という答えがふさわしい、と考えます。
結果を待っている方、請求手続きをしようか、迷っている方、色々な方がおられますが、当事務所では、少しでも経済的な安心、幸せに向かっていくことを願うお客様を全力でサポートします。
当事務所は「精神」「知的障害」に特化した障害年金専門の社会保険労務士事務所です。(企業の顧問先を持たず、給与計算、労働保険の年度更新業務、労務管理についての相談等の業務は行っておりません。)
ご検討ください。
よろしくお願いいたします。
(※)障害共済年金の場合は、共済組合への確認となります。
障害年金の年金証書
参考に、障害年金の年金証書を掲示いたします。
是非、こちらを手にして、経済的な安心、幸せへの一歩を踏み出してください。
(気分変調症 20歳前の傷病による障害基礎年金の2級でした。)
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障害年金の納付要件について(国民年金の保険料を後で納付した場合)
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
最近、多いお問い合わせとして、
「受診状況等証明書は取りましたが、その先の手続きがよくわかりません」
「障害年金の診断書は取得しましたが、病歴・就労状況等申立書の書き方がわかりません」
「書類は整えてみましたが、これで合っているのでしょうか?」
色々な方からのご相談があり、全てを挙げていくことはページの都合上できませんが、共通していることは「手続きがよくわからない」という「疑問、そして不安」です。
面談にお越しいただき、書類の内容を確認すると、取得すべき書類が無かったり、必要事項の記載が無い証明書等であったり、記載すべき内容を記載できていない申立書であったりします。
仕方がない、と思います。慣れているはずがないのですから。
障害年金の請求は、わからないことだらけ、の世界なのです。
障害年金は請求にあたり、多くの「障害」があります。
「わからない」という部分に限らず、「資料が無い」「体調が悪く、手続きそのものが行えない」という物理的な「障害」もあります。
このような「障害」を乗り越えたり、「乗り越えなくてもよい障害」を回避したりする。
一つ一つ丁寧に判断し、手続きをすることで、障害年金の受給まで至ることができます。
当事務所にお問い合わせいただければ、状況を整理した上で、最善の手続きを進めることが可能です。
「これで本当に受給できるのだろうか?」
そのような疑問がある時こそ、「障害年金専門の社会保険労務士」を活用してください。
適切に、受給までの道のりを安全に過ごすためには、「地図」を知り尽くしている「案内人」が必要です。
当事務所は「精神」「知的障害」の分野を専門としております。
何かありましたら、ご連絡ください。
参考:国民年金保険料免除・納付猶予申請書
免除の申請をされておらず、請求自体できない、というお客様からのお問い合わせも続いています。
免除申請へ、気持ちの面でのハードルが少しでも下がるよう「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」を参考で掲示しておきます。
ボールペンと紙1枚が、障害年金の請求ができるか、できないか、の「運命」を決めます。
(ご本人様の記入であれば、印鑑も不要です。)
詳しくは、お近くの年金事務所に、お問い合わせください。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、保険料の免除と障害基礎年金の年金額について、という題で、書いてみたいと思います。
(複雑になることを避けるため、老齢基礎年金における受給資格期間の詳細、老齢厚生年金、障害厚生年金を受けられる場合、基礎年金の国庫負担に関する経過措置の特例、国庫負担額の詳細、20歳前の傷病による障害基礎年金の給付に対する国庫負担割合等については、考慮しません。)
国民年金の保険料には、保険料の免除制度があります。
これは、届出さえすれば、「保険料を一部、もしくは全額、納付しなくてもいいですよ」ということになる制度です。
免除される保険料の額は、「全額」、「4分の3」、「半額」、「4分の1」、と分かれており、更に、「全額」の中に、
「法定免除」※1、「申請全額免除」、「保険料納付猶予制度」、「学生納付特例」、そして「産前産後期間の保険料免除」という種類があります。
この「免除」が、年金額へ与える影響ですが、
老齢基礎年金の場合
「法定免除」「申請全額免除」となった期間の分は、老齢基礎年金を貰う際、保険料を半額(8分の4)納付した、というカウントがなされます。(もし、20歳から60歳まで全て「法定免除」「申請全額免除」ということであれば、老齢基礎年金を貰う際、保険料を全額納付した方の「半分」の年金額となる、ということになります。)
同じく、「4分の3」免除となった期間の分は、老齢基礎年金を貰う際、保険料を8分の5納付した、というカウントがなされ、「半額」免除となった期間の分は、老齢基礎年金を貰う際、保険料を8分の6納付した、というカウントがなされ、「4分の1」免除となった期間の分は、老齢基礎年金を貰う際、保険料を8分の7納付した、というカウントになります。※2
これは、「8分の4」は国で負担することになっており、「残りの8分の4」について、保険料を納められなかった分だけ、年金額が一定の額から減る方式(これを、フルペンション減額方式、といいます)になっているためです。
尚、「保険料納付猶予制度」「学生納付特例」となった期間の分は、全額、保険料が免除されますが、「8分の4」について、国の負担が無く、納付可能な期限までに、保険料を納めない限り、老齢基礎年金を貰う際、保険料を納付した、というカウントはありませんので、免除を申請する際には、注意が必要です。
(老齢基礎年金には「受給資格期間」の考え方があり、10年以上の「加入期間」が必要になりますが、「保険料納付猶予制度」「学生納付特例」は、納付可能な期限までに、保険料を納めなくても、「加入期間」にはカウントされます)
また、2019年4月よりスタートした「産前産後期間の保険料免除」となった期間の分は、保険料を全額納付している、というカウントがなされます。(任意加入被保険者の方を除きます)
障害基礎年金の場合
障害基礎年金では、「保険料を納めていたこと」になれば、保険料を全て納めていても、全て免除でも、障害の等級によって、金額が決まっているため、年金額への影響はありません。
障害の等級が同じであれば、「法定免除」や「申請全額免除」等で、「保険料を納めていたこと」になっている方と、保険料を全て納めていたことで、「保険料を納めていたこと」になっている方の年金額は「同じ」です。(※3)
尚、「保険料納付猶予制度」「学生納付特例」となった期間の分は、納付可能な期限までに、保険料を納めることができなかった場合でも、「初診日の前日」までに「初診日の属する月の前々月分」までが免除されていれば、「未納」とはなりません。
また、「産前産後期間の保険料免除」については、保険料を全額納付しているので、当然に、未納ではない、というカウントになります。
まとめ
老齢基礎年金では、納めた保険料と年金額が比例しますが、障害基礎年金では、納めた保険料と年金額は比例しません。(※3)
老齢基礎年金は、保険料を納められなかった分だけ、年金額が一定の額から減り、障害基礎年金は、「納めていたこと」になれば、年金額は、障害の等級によって、一定の額が保障されます。
保険料の納付が難しくなった場合は、免除の申請を忘れないでください。
よろしくお願いいたします。
※1:生活保護法の生活扶助を受けている方等が対象になります。
※2:免除されていない部分については、納付している必要があります。
※3:障害厚生年金は、報酬比例で計算されますので、最低保障額を上回る場合、納めた保険料に比例します。
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障害年金の納付要件について(国民年金の保険料を後で納付した場合)
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。前回、
障害年金の請求に際しては、
・「必要書類」の整理、作成
・年金事務所への提出
が必要となり、病歴・就労状況等申立書、という書類があることを書きましたが、今回も、前回に続き、「必要書類」の整理、作成に係る部分の話題として、受診状況等証明書が添付できない申立書について、という題で書いてみたい、と思います。
受診状況等証明書が添付できない申立書とは、カルテ等の保管期限や、治療等を受けておられた医療機関の廃業等の関係で、初診日を証明するための受診状況等証明書が取得できない方のための書類です。
こちらが、その様式となります。
A4サイズで、大きさは、受診状況等証明書、と同じサイズとなっています。
この書類は、この書類に記載する「内容」と併せて、「内容の根拠となる参考資料」の方も、重要になります。
参考資料には、お薬手帳や、生命保険の請求で使用した診断書、転院先の医療機関から取得した受診状況等証明書等が含まれます。
受診状況等証明書によって初診日が証明できない状況の中で使われる様式ですので、参考資料と併せ、書類の整え方次第で、支給の可否も決まります。
お体の具合が悪く、「障害の状態」であったとしても、「初診日」が証明できなければ、障害年金の手続き自体、進めることが困難になります。
何かお困りのことがありましたら、当事務所にご相談ください。
よろしくお願いいたします。
補足:【受診状況等証明書が不要なケース】
負傷や疾病の関係で、初めて医師または歯科医師の診療等を受けてから、現在まで同じ医療機関で診療等を受けておられる、という方は、請求する際に使用する障害年金の診断書の一部(赤く囲いをした部分です)が、受診状況等証明書と同じ役割を果たすことになっておりますので、受診状況等証明書も、受診状況等証明書が添付できない申立書も、必要ありません。
請求にあたり、受診状況等証明書を取得する負担が無く、書類代が安く済む、というメリットがあります。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、病歴・就労状況等申立書について、という題で書いてみたい、と思います。
(複雑になることを避けるため、初診日において、国民年金や厚生年金保険等の被保険者であったか、どうか等については、考慮しません。)
前回までに、障害年金を請求するためには、
2.障害認定日の時期以降、「障害の状態」であること
が必要である、ということについて書きましたが、手続きとして、
障害年金の請求に際しては、
3.「必要書類」の整理、作成
4.年金事務所への提出
をすることになります。
以前、受診状況等証明書、障害年金の診断書、についてお知らせしましたが、必要書類の中に、病歴・就労状況等申立書という書類もあります。
こちらが、その病歴・就労状況等申立書となります。
A3両面に亘り、ほとんどが記入する欄になっています。
この病歴・就労状況等申立書は、ルールに則り、ポイントを押さえて、ミスなく、正確に記入する必要があります。
私は仕事として、毎日のように書いていますが、ご病気がある方が、こちらの記入を行うことは大変難しいと思います。
さらに、発病から治療歴が長ければ、それだけ分量も増え、2枚、3枚と、複数枚に亘って記入が必要となり、症状の重たい方は、これだけでも障害年金を請求する際の、大きな負担となります。
「必要書類」の整理、作成においては、ご病気や、請求する時点等で、揃えたり、作成する書類の種類も変わり、確認する作業も増えます。
このような、煩わしさ、不安、を取り除くことが、障害年金専門の社会保険労務士です。
当事務所は、「精神」「知的障害」の分野を専門としております。何かございましたらお気軽にお問い合わせください。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、障害年金の納付要件について、という題で、書いてみたいと思います。
(複雑になることを避けるため、初診日において国民年金や厚生年金保険等の被保険者であったかどうか、加入内容からの年金額の増減、初診日のある月の前々月までの被保険者期間の有無、国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置政令、昭和61年3月31日以前に初診日、発病日がある場合、脱退手当金を受給している場合、基準傷病についての初診日、海外に在住していた方等、について詳細な記載はしません。また、20歳の誕生日の前日より前に、初診日のある方(厚生年金保険等に加入されていた方を除きます)は、こちらを参照ください。)
障害年金は、社会保険という「保険」の分野の一つであり、「保険」である以上、保険金を請求するために、「初診日の前日までに」「保険料を納めていたことになるか、どうか」が重要になります。そして、「保険料を納めていたことになるか、どうか」は「未納がどれだけ少ないか」もしくは「未納が無いか」、で判断しています。
その上で、この「未納」になるかどうか、は実際に、各月、国民年金の保険料を納めていたか、どうか、勤務先等を通して、厚生年金保険等に加入していたか、どうか、だけでなく、
1.初診日の前日までに、免除の申請をして、免除されていた月、もしくは、生活保護を受けられていた等で、法定免除になっていた月(全額免除でなければ、免除されていない部分は納付していること)
2.厚生年金保険等に加入されている方の配偶者として扶養に入っていた月
についても、「未納」とはなりません。
また、老齢年金を請求するには、「10年以上の加入期間」が必要、となりますが、障害年金では、請求できるか、できないか、については、加入期間の長さは問題になりません。(あくまでも、年金額を考慮せず、請求できるか、できないか、についての判断に限ります。)
そして、20歳の誕生日の前日のある月の翌々月以降に、初診日がある方は、◇
A.初診日のある月の前々月までの加入期間の中で、未納の期間が3分の1を超えてない
B.初診日のある月の前々月までの、直近1年間について、未納がない ※1※2
ことが、重要になり、AもしくはBの、どちらか一つを、クリアすれば、「保険料を納めていたこと」になり、障害年金の請求はできます。しかし、
・初診日のある月の前々月までの加入期間の中で、未納の期間が3分の1を超えている
・初診日のある月の前々月までの、直近1年間について、未納がある ※1※2
どちらにも該当している場合は、「保険料を納めていたこと」にならず、障害年金の請求はできません。
障害年金は、老齢年金と異なり、請求にあたり、「加入期間」が問題になりませんが、「初診日の前日」までの、「初診日のある月の前々月までの期間」の「未納の有無」、が重要になることがわかります。
「保険料を納めていたこと」になるか、どうか、は請求の前提であり、「納めていたこと」にならなければ、厳しく言えば、「保険料を払っていない保険会社に、保険金を請求することと同じ」となってしまいます。(当然に、保険金は支払われません。)
この点は、ご病気になってからでは、手遅れになります。保険料の支払いが難しい場合は、免除の申請だけはしてください。
よろしくお願いいたします。
◇:平成3年4月30日以前に初診日がある場合は、「初診日のある月の前々月までの加入期間」を「初診日のある月前の直近の基準月(1、4、7、10月)の前月までの加入期間」に、「初診日のある月の前々月までの、直近1年間」を「初診日のある月前の直近の基準月(1、4、7、10月)の前月までの、直近1年間」に、読み替え。
※1:初診日が、平成7年4月1日以降で、65歳の誕生日の前々日以前にある方が対象となります。法令上、加入を義務付けられていない未加入期間は「未納」とはなりません。
※2:60歳の誕生日の前日のある月以降に初診日があり、初診日のある月に国民年金に任意加入されていない方、厚生年金保険等に加入されていない方は、初診日のある月の前々月以前の直近の加入期間を含む1年間で判断します。
国民年金法 第三節 障害基礎年金
(支給要件)
第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
一 被保険者であること。
二 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。
厚生年金保険法 第三節 障害厚生年金及び障害手当金
(障害厚生年金の受給権者)
第四十七条 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
国民年金法 附 則 (昭和六〇年五月一日法律第三四号) 抄
(障害基礎年金等の支給要件の特例)
第二十条 初診日が平成三十八年四月一日前にある傷病による障害について国民年金法第三十条第一項ただし書(同法第三十条の二第二項、同法第三十条の三第二項、同法第三十四条第五項及び同法第三十六条第三項において準用する場合を含む。)の規定を適用する場合においては、同法第三十条第一項ただし書中「三分の二に満たないとき」とあるのは、「三分の二に満たないとき(当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの一年間(当該初診日において被保険者でなかつた者については、当該初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの一年間)のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないときを除く。)」とする。ただし、当該障害に係る者が当該初診日において六十五歳以上であるときは、この限りでない。
第二十一条 初診日が平成三年五月一日前にある傷病による障害について、又は同日前に死亡した者について前条並びに国民年金法第三十条第一項ただし書(同法第三十条の二第二項、同法第三十条の三第二項、同法第三十四条第五項及び同法第三十六条第三項において準用する場合を含む。)及び第三十七条ただし書の規定を適用する場合においては、これらの規定中「月の前々月」とあるのは、「月前における直近の基準月(一月、四月、七月及び十月をいう。)の前月」とする。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、うつ病等の病名について、という題で書いてみたい、と思います。
当事務所では、お問い合わせをいただくと、まず、ご年齢や初診日に加入していた年金制度等と併せて、「病名」についても、確認をさせていただいております。その上で、受給の可能性の有無について判断をし、お客様にとって、最適な手続きはどのような形かをご提案します。
もちろん、お体の具合が悪く、定期的に通院等して、治療を受けられている中で、敢えて、主治医に「私の病名は何ですか?」と確認をされている方ばかりではありませんので、その際は、わかる範囲のお話だけを伺っております。
私は「精神」「知的障害」の分野を専門で、障害年金の請求代行を行っている社会保険労務士ですので、仕事上、障害年金の診断書や受診状況等証明書の取得、内容確認は必要不可欠な作業であり、その際、お客様の「病名」については、必ず確認を行っております。
その中でも「うつ」と入る病名は、相当な種類があり、単純に「うつ病」となっているケースや、中等症うつ病エピソード、反復性うつ病性障害、抑うつ神経症、うつ状態、混合性不安抑うつ障害等、様々です。
一見すると、どれも同じようなご病気にも見えますが、障害年金の対象として捉えられているご病気と、原則的には対象として捉えられていないご病気があり、また、病名と他のご病気との関係によっては、どの時点を初診日として積極的に進めるべきか、全く変わってきますので、慎重に判断をする必要があります。
お客様の中では、ご自身の性格や単なる行動の特徴について「発達障害」と思われている方や、その他のご病気を、「うつ病」と混同されている方もおられ、
「発達障害だと思う」「おそらく、うつ病ではないか」とのお話を伺うことがあります。
しかし、あくまでも予想に過ぎない段階において、手続き全体を決めてしまうことは、当事務所では行っておりません。
病名が不明の場合は、まず、主治医にご確認ください。
的確な「診断」を下せるのは主治医だけです。
当事務所では、主治医にご確認いただいた病名や、関係書類から確認が取れた病名から、障害年金の受給に向けて、最適な手続きを行っております。
病名によって、取得する書類も変われば、病歴・就労状況等申立書の書き方も変わります。
「精神」「知的障害」の分野の障害年金であれば、当事務所にお任せください。
よろしくお願いいたします。
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、知的障害の障害年金、という題で書いてみたい、と思います。
(複雑になることを避けるため、3級不該当程度の知的障害の方の場合、知的障害の診断を受け、神経症で精神病様態を併発している方、統合失調症を併発している方の場合等を考慮しません)
知的障害は精神遅滞とも表されます。
多くのお客様が、幼少期より、知的発達の障害から、日常生活に様々な困難を抱えており、ほとんどの方が「療育手帳」(東京都は「愛の手帳」)をお持ちになっています。
就労に関しては、障害が軽度の方ですと、周囲の方のサポートで、一般就労に至っていた方もいらっしゃいましたし、重度の方であれば、障害者雇用で、極めて単純な工程の作業のみ従事している、という方もいらっしゃいました。
面談の際は、ご本人様だけでなく、そのご両親どちらかと、ご一緒するケースが多く、ごくたまに、ご本人様のみ、という場合もあります。また、遠方の方で、郵送のみで対応を行った方もおります。
以前、「初診日」について書きましたが、手続きの上で、「先天性の知的障害の障害年金」では、一部を除き、「出生日」が「初診日」という取扱いになっています。
「知的障害」の障害年金の分野も、書類審査であることから、症状や就労の現実について、的確に申立てができず、実際は貰えるはずだった障害年金に結びつかないままで過ごされていた方がおり、また、「軽度だから」「厚生年金に加入しているから」そのような理由で諦めていた方もおります。本来、経済的な安心を得ているはずの方が、不安の中で過ごしていた、ということについて、悲しい思いを禁じ得ません。
「知的障害」の障害年金においても、的確に日常生活に制限を受けていることを主治医に伝え、病歴・就労状況等申立書をミス無く、ポイントを押さえて、記入することが求められます。またお体の状態、社会保険全体からの判断から、整える書類の種類が変わることもあります。
当事務所では、具に(つぶさに)症状を確認し、受給できる可能性があるか、慎重に判断しております。
ご本人様の「経済的な安心」だけでなく、「ご家族の安心」も、障害年金によって、少しでも増やすことができれば、と思います。
「精神」「知的障害」の分野であれば、当事務所にお任せください。
よろしくお願いいたします。
参考 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
第8節/精神の障害 精神の障害による障害の程度は、次により認定する。
(省略)
D 知的障害
(1) 知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいう。
(2) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
1 級 | (省略) |
2 級 | (省略) |
3 級 | 知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの |
(3) 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさま ざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。 また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
(省略)